罰を受けて罪を償う

備忘録です。

公文書改ざん問題について雑感

自分用メモ。あとでもろもろ見直す。

 

 

■改ざん前の内容は何が「問題」なのか?

まずざっとネット世論を眺めてみての雑感。

  • アベ政権倒閣派の主張→森友問題に昭恵夫人の関与があった証拠といえる。安倍政権は総退陣すべき。
  • 安倍政権擁護派の主張→籠池が勝手に政治家や昭恵夫人の名前を出していたというだけの話で一切問題ないことは明らか。財務省が詐欺師・籠池相手に苦労したということだけが伝わってくる。

個人的には後者の意見に近い。削除された記述は、いずれも取り立てて問題になるものとは思えない。

 

しかし、取り立てて問題になるものとは思えないからこそ、

 

「じゃあなぜ、特に問題のない記述を削除するために、絶対にやってはいけない改変を組織ぐるみで行ってしまったのか?」

 

という疑問が膨らむ。これが解明されないことには事態は収束しないだろう。

 

ちなみにネットではこの疑問についての説明として「公文書改ざんの真相は、関西の闇(同和問題)だね……」「絶対触れちゃいけない領域に突っ込んでるってメディアも野党もわかってるのかね」と意味深につぶやく人が散見されるが、その関西の闇について具体的に解説してくれる人は筆者の観測範囲にはいない。「とにかく同和関係はアンタッチャブルなんだよね……」とそれっぽくつぶやくだけの人ばかり目立つ。

 

まともな解説がない以上は、ひとまずよくある陰謀論かなぐらいに思っておくこととし、まともな解説が見つかったらまた考えたい。同和もネットでは電通JASRAC並に便利に使われているので……。ただ、なぜか関西の闇説を唱える人たちが「これ以上触るな」と警鐘を鳴らしてるのは不思議だ。いや、その闇の人たちが官邸以上の権力を奮って財務省に命令しに犯罪行為を働かせてるなら国の根幹が揺るがされる事態なので、ぜひもっと掘り下げてその闇の皆さんを引きずり出して壊滅させるべきでは……?

 

筆者の個人的な考えとしては、「組織というのはびっくりするほどしょうもないことをなぜかみんなで隠そうとすることがあるんじゃないかなぁ」ということ。普通に考えたらあり得ないことでも、財務省内で権力を持つ人々がさまざまな忖度を行った結果、別に消さなくてもいい記述を消しまくってしまうということはあり得るだろうと思う。

 

ネットで陰謀論に陥る人って、「○○でなければ説明が付かない」みたいなことを安易に言いがちだけど、人間や組織っていろんな機微が重なった結果として説明がつきにくいことをしてしまう不合理なものだという前提は忘れずにいたい。これについては後日書くかも。

 

■なぜ財務省は公文書を派手に改ざんしたのか?

 

www.yomiuri.co.jp

 

当時、同省理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官の答弁との整合性を取るため、学園との事前の価格交渉をうかがわせる記述などが削除された。理財局の指示で、理財局と近畿財務局の一部職員が行ったという。麻生財務相は、最終責任者は佐川氏だったとしている。

 

上記の読売記事によれば、

  • 改ざんを行った理由→佐川前長官の答弁との整合性を取るため
  • 最終責任者→佐川氏

上記の「理由」は組織の動きとして納得できる。次に明らかにされねばならないのは、「じゃあなぜ佐川前長官は虚偽だらけの答弁を行ったのか」ということだ。つまり、佐川前長官の証人喚問は最低限不可避であると思う。

 

www.huffingtonpost.jp

書き換えが行われた時期については、「(一連の報道がなされてから書き換えがされたという)認識はない」とした上で、「佐川の(国会での)答弁と決裁文書の間に齟齬があった、誤解を招くということで佐川の答弁に合わせて書き換えられたのが事実だと思います」と説明した。

(略)

記者から答弁に合わせて資料を書き換えるのは変ではないかと指摘されると、「変だから処罰されたんだ。それによって佐川が減給の上で辞めるということになったんでしょう」と述べた。

書き換えの責任者について麻生氏は、「書き換えの一番トップはその時の担当者で、そんなに偉いところではないと思う。最終的な決裁として、佐川が理財局長だったから、その意味で理財局長となろうと思う」と述べた。

 麻生大臣も「改ざんの動機は佐川の答弁とつじつまを合わせるため」「責任は佐川にある」と認めている。ただ、一方で麻生氏は佐川氏の辞任について

「正直、残念だという気持ちがある。極めて有能だし真面目」

「責任を感じていることは理解するが、少なくとも国税庁長官として不適任だったという意識は私にはない。理財局長時代もきちんと仕事をした。適任な人を信任したと思っている」

 と、佐川氏に全く問題がなかったとの見解も示しており、いまいち意味不明ではある。普通なら「もし佐川氏が本当に虚偽答弁や改ざん工作指示をしていたのだとしたら私の見る目がなかった。任命責任を強く感じている」といった態度になるはずなのだが、麻生大臣は弱気を見せたら死ぬ病なのだろうか。

 

■佐川前長官の証人喚問は本当に必須か?

前述の通り、必須だと思う。

 

驚いたことに、この段階に至っても自民党は佐川前長官の証人喚問を拒否し続けている。

www.asahi.com

this.kiji.is

 

野党は昭恵夫人経産省・谷氏、迫田元理財局長・元国税庁長官らも証人喚問で呼べと主張しているが、そのあたりを呼ぶ根拠はまだ薄いように思うのでひとまず置いておきたい。

 

しかし、総責任者である佐川氏だけは必ず呼ばねば一連の事態解明は難しいだろう。

 

安倍政権の擁護をする人々の主張は、ざっくりと

  • 財務省内の一部の職員がやった不祥事に過ぎず、国を挙げて騒ぐようなことではない」
  • 「もっと重要なことが山積みなのに足を引っ張るのは売国奴
  • 「これ以上騒ぐと関西の闇に触れみんな死ぬぞ?いいのか?」

といったところかと思う。

 

しかし、これは明らかに事態の矮小化であろう。他のことも大事だが、他のことにちゃんと取り組むためにも、まず佐川の招致など粛々と進めるべきなのは政府であり与党の方だ。

 

この組織的公文書改ざんが日本を揺るがすレベルの極めて重大な事件であることは、これまで森友問題で政府寄りの立場を取り、基本的に安倍政権に親和的な読売新聞、産経新聞といったメディアも強く主張している。

www.yomiuri.co.jp

 

www.sankei.com

 

【読売新聞】

事実をゆがめた答弁を繰り返した佐川氏の辞任と懲戒処分は当然だ。首相と麻生財務相任命責任を重く受け止めねばならない。

 麻生氏は「理財局の一部の職員により行われた」と語り、組織ぐるみでの隠蔽いんぺいを否定した。

 書き換えをいつ誰が指示したのかや、詳しい動機を調べる必要がある。責任の所在を明らかにした上で、関係者の処分や再発防止策に取り組むべきだ。(読売)

 

産経新聞

 安倍晋三政権はこの1年、土地売却や財務省の対応などに問題はないと答えてきた。これを覆す事態である。

(略)

 安倍首相は「行政全体の信頼を揺るがせ、行政の長として責任を痛感している。国民に深くおわびする」と語った。信頼回復に向けて「全力を挙げて取り組む」という以上、関係者の国会招致などにも積極的にあたるべきだ。

(略)

行政内部の問題にとどまらないのは、安倍政権が国会答弁や記者会見で、事実に基づかない説明を続けてきたことである。結果として、政権そのものに対する国民の信頼を傷つけたことを、直視しなければならない。

 国会議員に提示する文書の書き換えは、立法府の軽視である。与野党を問わず、厳しく対処しなければならない。

 安倍首相は昨年6月の記者会見で、森友学園加計学園の問題への対応を反省し、「信なくば立たず」と語った。政治とは国民の信頼がなければ成り立たないという孔子の言葉である。

 「真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」とも語っていたが、これまでの対応や行政機関への指導監督の欠如をみるかぎり、反省は生かされていなかった。

(略)

 佐川氏の辞任は説明責任を逃れる免罪符とはならない。与野党は協力して、国会招致を実現すべきである。

 佐川氏を国税庁長官に起用した麻生氏の責任も重大である。佐川氏への疑問が拡大する中でも「適材適所」と擁護していた。

 日本は、北朝鮮核危機という国難に直面している。そのときに政権が国民の信頼を失うことが、いかに政策遂行の妨げとなるか。

 安倍首相には、重大な失政と認識して対処してもらいたい。

 

 引用が長くなったが、森友問題においてずっと安倍政権サイドにいた読売も産経も安倍政権を批判し、佐川前長官の招致を強く求めていることからも、ネットの安倍政権支持者たちがいうほどしょぼい問題ではないという両紙の認識は伝わってくるのではないだろうか。

 

■おまけ:削除された箇所について考察

一応ざっと書いておくと、佐川前長官の虚偽答弁のコアはざっくりと「森友と事前に価格交渉をした事実はない」ということだ。そのために「実は事前に価格交渉していた」という箇所を削除するのは理解できる。

 

しかし、別に問題ないはずの「政治家秘書による問い合わせ」「籠池の主張した昭恵夫人の発言」「籠池と昭恵夫人の親しさを裏付ける産経の記事」なども一緒に削除した理由は気になるところだ。

 

www.sankei.com

 

 あどけない幼児が大きく口をあけ、難しい言葉を朗唱する姿を初めて見た人は一様に驚き、感動する。安倍首相の昭恵夫人もそのひとりだ。

 昭恵夫人は昨年4月、同園の視察と教職員研修のため訪れたとき、鼓笛隊の規律正しいふるまいに感動の声を上げた。さらに、籠池園長から「安倍首相ってどんな人ですか?」と問いかけられた園児らが「日本を守ってくれる人」と答える姿を見て、涙を浮かべ、言葉を詰まらせながらこう話したという。

 「ありがとう。(安倍首相に)ちゃんと伝えます」

 

この産経の記事が資料として添付されていたのは昭恵夫人との親密な関係は籠池氏のホラではなく、昭恵夫人森友学園に共感し、応援しているのは事実であるし、おそらく安倍総理も同じである」ということを示すためと思われる。

 

また、同じく削除された、「籠池氏は日本会議大阪の代表・運営委員だった」「日本会議とは安倍総理や麻生大臣も名を連ねる組織である」という記述も、「籠池なる人物は単なるうさんくさい親父ではなく、要人も名を連ねる組織の代表であり、産経新聞昭恵夫人に応援されている、それなりの実力者・名士である」ということを裏付ける資料としての記述だったのではないだろうか。

 

籠池氏の証人喚問時から、安倍総理自民党もみな「籠池は詐欺師であり、こんな人物の発言は全部虚言である」という方向で一致団結していたが、籠池氏はもともと日本会議大阪の重鎮で、関西方面では愛国教育家としてけっこうな名士だったことが報道されており、櫻井よしこ氏、百田尚樹氏、曽野綾子氏、青山繁晴氏、竹田恒泰氏、渡部昇一氏、中西輝政氏、田母神俊雄氏、中山成彬氏、平沼赳夫氏といった錚々たる保守論客がサイトに推薦文を寄せ、講演に訪れていた。彼らの多くは森友騒動に口をつぐみ、あるいは手のひらを返して「偽保守の詐欺師」と罵倒してみせたが、与党と距離の近くない田母神俊雄氏など一部は森友問題発生後も籠池を真の保守思想を持った愛国教育家としてかばい続けていた。

 

籠池は本当に詐欺師なのか?まともな保守の論客たちは単に詐欺師に騙されていただけの被害者なのか?ここはちょっと検討したいと思う。少なくとも、財務省が問題の文書を作った時点では「詐欺師」ではなく「名士」だったはずだ。

 

つまり、今安倍政権擁護派の人たちが主張するような、「籠池が詐欺師なのは誰が見ても一目瞭然で、財務省が削除した籠池と昭恵夫人に関する記述は単なる籠池のホラ。財務省だって籠池のホラを信じてない」ということは当たらないのではないかと思う。しかも谷秘書官からの問い合わせもある。当時の財務省の認識としては安倍総理に極めて近い実力者なのは確かなようだ。粗相のないように対応せねば」というものだったとしても違和感はない。

 

もう一点、「昭恵夫人安倍総理からと言って100万円を寄付した」という話。親安倍政権派の人々の間では「白紙札束ワロタ」「籠池の虚言で昭恵夫人可哀想」といったところに着地しているが、ここはかなり怪しいと筆者は思っている。

 

というのも、昭恵夫人が勝手に安倍総理の名前を出して安倍総理の代弁をしている実例があるからだ。

 

この動画は籠池氏の瑞穂の國記念小學院の名誉校長となった昭恵夫人の講演だが、この中で昭恵夫人は以下のように述べている。

 

 

www.youtube.com

実は昨日、主人はミヤネ屋という番組とそこまで言って委員会というののそちらは収録ですけれども、のために大阪に来ておりました。時間があればですね是非こちらにも寄らせていただきたいというふうに言ってたんですけど、残念ながらトンボ返りですぐ東京に戻りましたけれども、こちらの教育方針は大変主人も素晴らしいというふうに思っていて、先生からは安倍晋三記念小学校という名前にしたいというふうに当初は言っていただいてたんですけれども、主人が、総理大臣というのはいつもいつもいいわけではなくて、時には批判にさらされていることもあると、そんなときに自分の学校の名前が安倍晋三という名前が付いてると、もしかすると色んなとこから、その名前によってイジメにあったりすることがあるかも知れないし、色々なことで学校側も、なんで今こんな名前を付けたのかというふうにイジメられるかも知れないので、もしお名前を付けていただけるのであれば総理大臣を辞めてからにしていただきたいということで、それをご理解いただいて籠池園長が瑞穂の國記念小學院という本当に素晴らしいお名前を付けられました。

特に重要なのが

  1. 昭恵夫人「こちら(森友)の教育方針は主人(安倍総理)も素晴らしいと思っていて」
  2. 昭恵夫人「(安倍晋三記念小學院という名称について安倍総理は)『もし名前を付けていただけるのなら総理大臣を辞めてからにしていただきたい』と」

 

という部分かと思う。というのは、この1と2はいずれも後に安倍総理に完全否定されているからだ。

 

安倍総理のスタンスは「籠池なんてよく知らないが昭恵が騙されていたのだと思う」「安倍晋三記念小學院なんてあり得ない、迷惑な話」というもので、しかし昭恵夫人が籠池夫妻らに正反対のことを言っていたなら、籠池夫妻は本当に全く意味がわからないのではないだろうか。

 

安倍夫妻の上記の「認識の不一致」はどこから来るのか。二人のどちらかが嘘をついているのか。

 

  • 昭恵夫人が嘘をついている場合→昭恵夫人は勝手にリップサービスで『主人も応援しています!』などとあちこちで吹聴してしまうお調子者であった
  • 安倍総理が嘘をついている場合→本当はわりと籠池に共鳴し応援していたが、今となっては恥ずかしい黒歴史なのでなかったことにした。

https://mamorenihon.files.wordpress.com/2017/12/abeshinzo_tegami_tsukamotoyouchien.jpg

 

個人的には前者に近いかなと思う。例の100万円寄付の件も限りなく「勝手に安倍総理名義でやったのでは?」と思っている。

 

そうしたささやかな昭恵夫人の「曖昧なうそ」「リップサービス」を隠し守るために、安倍総理自民党が忖度しまくった結果、いつのまにか大ごとになってしまった可能性はなくはないのではないか?

 

一方で、後者の要素もなくはないかもなとも思う。田母神氏など一部を除く旧森友応援団は、ある時点を境に全員手のひら返しをし、全て詐欺師夫妻に押し付ける動きを見せた。でも籠池氏って昔は保守系論客やメディアにもてはやされてたし、あの人金には汚いけど愛国心自体はピュアじゃないか?真の保守であり、かつ姑息な犯罪者であることは矛盾しないだろう。

 

ちょっと考えてるのは、値引きの真相は全然関係ないこと(関西の闇!)にあるにも関わらず、

昭恵夫人周辺が勝手に「昭恵夫人の働きかけの影響もあったのかも」と不安になった結果、忖度が働き、本来消さなくていい箇所まで消してしまったという可能性。

 

まあなんにせよ真相は「安倍総理財務省に指示したのだ!」みたいな単純なストーリーではなく、もっと複雑かつしょぼいところから始まっている気がしてならない。まずは佐川氏の証人喚問を望む。