はてブの出来事

備忘録です。

ROLLYのブチ切れ案件についてロックファンからの補助線(訂正・修正とお詫びあり)

今回絡まれ被害に遭ったファンの方に対して、無神経な書き方をしすぎてしまったので、ご指摘を鑑み何箇所か訂正・修正を入れました。ごめんなさい。&ご指摘いただいた方に感謝。

7/21(金)7時


あと、(言うまでもないのか言うのが当然なのかわかりませんが)この記事に書かれていることは筆者の主観による決めつけです。実は全然違うかもしれません。「わかりやすい」事は常に危うさを孕むものであり、書いた文章の責任はもちろん私にありますが、一応ご留意くださいませ……。

7/22(土)9時

 

 

 

 

ROLLYことローリー寺西Twitterでファンに粘着質に絡んだことで炎上した。

 

togetter.com

 

が、多分これ、先日の山下達郎の件と同じで、よく知らない人が見て抱く印象と、音楽ファンから抱く印象が、ちょっと違うやつなのね。達郎もローリーも100%悪いんだけど、その結論は変わらないんだけど。

 

ROLLYの執拗すぎるツイートは完全に常軌を逸しているし、絡まれたファンの心境も察すると同情するのだよ。それはそれとして補足解説がしたくなったので書くよ。皆さん、なんでローリーが怒ってるのか全くわからんでしょう。意味不明ですよね。

 

どういうことかというと、ROLLYことローリー寺西というミュージシャン。かつてはすかんちというバンドで一世を風靡したことで、一部のロックファンには知られている。この人が、普通のロックミュージシャンとちょっと違うのは、

 

  • クラシックロックの伝道師という意識が極めて強い
  • イタコギタリストとしての意識が極めて強い

 

という2点が挙げられる。

 

まず、すかんちってどういうバンドだったかというと、「壮大なクラシックロックパロディバンド」と呼んで差し支えないと思う。リーダーであるローリーがそういうコンセプトで作ったバンドであり、曲名、アルバムジャケット、ミュージックビデオと、ありとあらゆる要素に、

 

・60~70年代のブリティッシュロック、あるいはクラシックロックと呼ばれるようなアーティスト。The WhoDeep PurpleLed ZeppelinQueenといった英国の偉大なレジェンドバンドたち

 

のオマージュ、あるいはパロディを散りばめていたんです。

 

これはもうめちゃくちゃ自覚的にやっていることであり、ローリー自身もインタビューでそういうポジションであることを強調していたし、インタビュアーも「元ネタ」にがんがん言及していた。

 

Wikipediaにもそのように記述されていますね。

ja.wikipedia.org

 

ROLLYの奇抜なキャラクターやド派手なメンバーのヴィジュアルから色物バンドと見られる節もあったが、レッド・ツェッペリン、クイーンを始めとする洋楽のパロディを盛り込みつつ、グラムや歌謡曲の要素をも散りばめたクオリティーの高い楽曲や演奏力の持ち主であった。楽曲「恋のマジックポーション」「恋のミラクルサマー」がフジテレビ系『ダウンタウンのごっつええ感じ』テーマ曲に使われ注目される。

 

ちなみに「恋の○○」というタイトルは、The Whoの「Substitute」(恋のピンチヒッター)に代表される、「洋楽の変な邦題」のパロディです。

 

ローリーの「伝道師」という意識については以下のインタビューがわかりやすいかと思う。

 

realsound.jp

 

重要なところなので、少し長いけど引用しよう。

 

僕はすかんち以前からそうなんですけど……アレンジの、料理のし具合の妙技を見せるっていうのが、僕の目的だったわけ。昔ロッキング・オン・ジャパンで「すかんちがパクった元ネタ集」っていう特集をやって、「このアルバムのこの曲のこの部分から取りました」っていうのを全部書いたの。これは勝手な僕の定義ですけど……「音楽のバトンを渡す」という言葉を、最近クリス・ペプラーさんに教えてもらって(笑)。

 たとえばこのアルバムにも入っている、すかんちの「恋のマジックポーション」は、エレクトリック・ライト・オーケストラでジェフ・リンとコンビを組んでいたロイ・ウッド、彼のソロの「Oh What A Shame」という曲と、彼のバンド、ウィザードの「Rock'n Roll Winter」と、ベイ・シティ・ローラーズの「Summer Love Sensation」を合わせて、ソリッドなハードロック風味に仕立てあげて、スイート風のコーラスを付け加えた、というものだったのね。基本的なメロディはロイ・ウッドからインスパイアされていて。

 だけどそのあとに、ビーチ・ボーイズでまったく同じメロディのものがあることを発見して、「なるほど! ロイ・ウッドはビーチ・ボーイズに憧れてこの曲を書いたんだ!」と思ったら、エルヴィス・プレスリーでまったく同じメロディの曲があるんだよね(笑)。

 これこそが「音楽のバトンを渡す」っていうやつで。プレスリー亡きあと、そのメロディをビーチ・ボーイズに「はいっ!」て渡して、ビーチ・ボーイズからロイ・ウッドに渡して(笑)。

 だからほんとに僕の使命は、音楽のバトンを渡す……そのまま渡すのではなく、自分なりの味付けをして。そこが自分のアーティスト性っていうんですかね。この曲をローリーがやったらこんなふうになるよ、っていうのが私のアーティスト性だと思う。

太字強調は筆者によるもの。

 

60年代から70年代というのはギターヒーローなるものが生まれた時代でもあり、Whoのピート・タウンゼント、Purpleのリッチー・ブラックモア、Zepのジミー・ペイジQueenブライアン・メイといったギタリストたちがめちゃくちゃカッコいいギターサウンドでめちゃくちゃカッコいいギターリフを生み出していた。

 

ローリーは10代の頃からそれらを死ぬほどコピーしてきた人。演奏やサウンドだけでなく衣装やステージング、パフォーマンスも徹底的にコピーしてきた。プロのギタリストがギターの教則ビデオを出すことは珍しくないが、ローリーはステージング&パフォーマンスの教則ビデオまで出していた。

 

例えば今回炎上したジミー・ペイジのイタコ芸は以下の動画で少し垣間見ることができる。

 

www.youtube.com

 

そう、イタコ芸。ローリーはギタリストとして、時にはブライアン・メイに、時にはジミー・ペイジに完全に「成り切る」ことを、自身のライフワークのように追求してきた。そこにもちろんローリーなりのプラスアルファというのはある。それは、言うてもペイジ本人じゃないし、ブライアン本人でもないので、どうしても出てきてしまう部分がローリーのオリジナリティである。が、1つ1つのプレイに、選ぶリックに、作る音色に、使う機材に、全て根拠があるのだ。それは本物に近づくためのイタコのこだわり。

 

ローリーは大好きなピートやリッチーやペイジやブライアンのギターを徹底的に研究し、演奏も、サウンドも、ファッションも、動きも、表情も、まさにイタコを極めてきたわけです。*1

 

そんなローリーが、神のように尊敬するペイジの曲を演奏するために呼ばれ、全身全霊でリスペクト込めて演奏したプレイを、別にギタリストでもないであろうロックファンから「ペイジじゃなかった。ローリーさんが自由に弾いていた」と言われたわけですよ、今回。これは存在を全否定されたようなショックを受けたのではないでしょうか。他ジャンルで言うとなんだろう、田中圭一氏が「手塚の絵柄とパロを期待して読んだけど、田中先生が全然手塚タッチではない自分の画風で自由に描いていたのでびっくりしました」って言われたみたいな。まあ田中先生はそんなのでキレないだろうけど。

 

というのが俺の説明したかったこと。

 

これを踏まえて両者のやりとりを見ると、実は元ツイのファンの方もまあまあ意固地なんだよ持論を強く持ってるんだよ。「ペイジではなかった」「ローリーさんが自分のスタイルで好きに弾いていた」という2点をけっこう折れずに繰り返してるんです。丁寧に謝りながらも。

※「意固地」という表現は、もっと最適な行動があるのに、むきになってわざとそれを選ぼうとしないみたいなニュアンスがあり不適切なので修正します。状況的に「そもそも、ROLLYの怒りの理由がわからないので怒りを解く回答もわからない」のが普通かと思います。ごめんなさい。

 

※元ツイの方(以下、IDは消します)
ROLLYさんはZepファンなので、Jimmy Pageのように弾くのかなと思って会場に行くと、出番ではギター2人体制で、Pageの音はもう一人のギタリストの方が鳴らしていました。ROLLYさんは自由にご自分の音を奏でていたのでちょっとビックリしました。あらためて聴くに、やっぱり相当に自由にやってますね

 

これにペイジ研究家としてのプライドを傷つけられたローリーさんが噛みつく。

 

ROLLY(寺西一雄)本人 @RollyBocchan
私はジミー・ペイジ自身が演奏しているフレーズだけではなく、色々な曲、テイク他のフレーズ、をライブでアドリブで取り入れて即興するのが好きです。
それまでの曲と、また違った味にしたいからです。
その僕の演奏が気に入らないのなら、是非これからは私の居ない演奏を聴いたほうがためになります

 

これに火に油を注ぐ以下の返答。

 

※元ツイの方
ご返信ありがとうございます。私はROLLYさんの演奏が気に入らなかったのではありません。誤解させてしまったようで申し訳ございませんプロの方は影響を受けたミュージシャンがいらしてもご自身の演奏法があるからなのねと思って楽しく聴いておりました。ご説明いただきありがとうございます🙏

 

ローリーは「ペイジの特定の1曲、特定の演奏をまるっと再現したわけではないが、毎回いろんなプレイを組み合わせてペイジ風に弾いているのだ」と憤っているんですよ。それに対して「ローリーさんはペイジやいろんなギタリストの影響は受けてるけど、ご自身の好きなようにローリーの演奏をしてるんですね!」という趣旨のレスをしてしまっている。「ご説明いただきありがとうございます」といいつつ、ローリーの主張を読めていない。

 

しかも、俺たちがさんざん見てきた「誤解を与えたなら申し訳ない構文」。確かに演奏が気に入らなかったとは言ってないんだけど、「ペイジのように弾くのかなと思って見に行ったら、自分のスタイルで好きに演奏していたのでびっくりした」というのは、「ペイジを期待してたけどペイジじゃなかった」という意味に取れるのでは。少なくとも、ローリーがそう受け取ったことは、無茶な解釈ではないと思います。

 

そこで、ローリーは「俺の説明が下手だったのか」と思ったのか、噛み砕いてレスをします。

 

ROLLY(寺西一雄)本人 @RollyBocchan
言葉が足りなかったかもしれませんが、レッドツェペリンの莫大な作品の中から、いかにもジミーペイジが弾きそうなフレーズを別のジミーペイジの曲で弾くこと大好きなので、Zeppを知れば知るほど楽しく感じる事が出来ます
その曲しか知らないと無関係なフレーズを弾いた様に聴こえるかもしれません。

 

これ、ローリーが何を主張したがってるかというと、おそらく「あれはペイジのプレイなんだ!50年ペイジの研究をしてきた俺が、ペイジになりきってやってるんだ。もう全編あらゆるところにペイジ要素が散りばめられてるんだ。ZEPを聴き込んでくれればわかる!」ということなんですよ。それをわかってほしいわけですね。

 

しかし、この後の怒涛のレスも伝わらない。

 

※元ツイの方
私はLed Zeppelinは中学の頃から少しずつレコードやCDを買い集めて聴いてきましたが、とても深くは聴いてないと思います。ご教示の通り、もっと聴いてみようと思います。ありがとうございます。ROLLYさんの音楽は独自のものとして私は充分楽しく聴かせていただいているので特に反論もないのです。

 

こっちもこっちでやや意固地読めていないでしょう。「たしかにZEPはそこまで聴いてないけど、あなたのあの演奏はペイジではない独自のローリー音楽として楽しんでます♪」という一線を、最後まで一歩も譲らない。ファンならそこは譲ってあげてもええんちゃう!?「おっしゃるとおり、そんなにZEPを聴き込んでないので、ローリーさんの演奏に散りばめられたペイジ要素に気づきませんでした」とか言えばいいのでは。

※ファンならアーティストの機嫌を取るために持論を撤回すればいいじゃんというのは良心のない話でしたね……失礼しました。ペイジという神の前で人は平等だ。まるっと撤回します。ごめんなさい。

 

いや、感想は自由でありアーティストに強要されるものではないので別に引っ込めなくてもいいんだけど、それはつまり戦争を受けて立っているのだ。アーティストのこだわりを(そのつもりはなくとも)否定すれば本人から反論が来ることもある。それを「説明ありがとうございます!」と言いながらも結局最後まで否定し続けている形になってしまっただったら説明ありがとうとか言わず「気を悪くされたならすみませんが、やっぱりペイジっぽくはないと思います」でいいだろう。ROLLYは「説明伝わってないじゃん」と思ってしまったのだろう。

※「戦争を受けて立っている」「否定し続けている」は、ファンの人に「そんなつもり」はなかったのは一目瞭然なので、書き方を修正いたします。申し訳なかった。「はからずも構図としてはそうなってしまった」という説明として残します。

 

※7/21朝追記→*2

 

このあたりで切り上げるけど、要するにこれはね、「面倒くせえロックオタク同士の面倒くせえ議論」という面もあるんです。ファンの方も「これはペイジじゃないなぁ」という自分の感想を引っ込める発想がないからこうなってしまった面はあるのではないか。どっちが正しいというわけでもないが、プロのギタリストの矜持がそこにはあった。

 

結果論かもだけど、「誤解されたみたいですみません」という、それって一種の反論なのだが、これは入れない方がよかったと思う。「ペイジのコピーじゃないですよね、わかってますよ」という返信は、「わかってない」わけで、それを繰り返したことでローリーはますます逆上してしまったのでは。もちろん、好きなアーティストにあんなぶっ壊れた粘着をされたら、動揺してうまく対応できなくても仕方ないけど。

※上の「結果論~」の文も撤回します。こうやって後からならいくらでも「こうすればよかったのに」と言えるが、リアルタイムで推しにわけもわからず殴られ続けている人にそれを言うのはあまりに酷だ。ごめんなさい。

 

皆さんのショックはわかるんですよ。俺も10何年か前に、田中将大が、楽天ファンのおっさんによる「ももクロなんかでチャラチャラしてちゃダメ、お前は最高のピッチャーになれる逸材なんだから」みたいなツイートにブチ切れて「あなたに俺の何がわかるのでしょうか?」と激詰めしてたのを見て「マーさん、そのおっさんは確かにうざいけど、彼は彼で楽天のファンなんだから、マーさんからそんなに激詰めされたらショックで寝込んじゃうよ……少なくとも楽天ファンはやめちゃうよ」と心配になったことがあるからね。

 

が、「いたいけなファンを激詰めする老害ミュージシャン」と見るか、「変なこだわりのあるロックオタクに自らのイタコ芸を否定された変なこだわりのあるロックオタク」と見るかで、また少しだけ見え方は変わるというのはあるかなと思う次第です。理不尽に粘着された被害者ではあるけど、そこまで弱くて健気なファンには見えないというか、骨があるから受けて立っているのだ。俺ならまず日和って「すみません、ペイジのことよく知らないのに適当なこと書いちゃいました、撤回します」だよ。あのファンの方、最後までそこは絶対に譲らなかったからね。むしろそんなプロと張り合ってしまうようなマニアックなリスナーだからこそローリーのファンなのかもしれん。

※7/22(土)9時 ↑このへん、その後俺の印象も変化しまして、「受けて立っている」というのは言い過ぎで、ROLLYに詰められたショックと恐怖のあまり「最初の感想を引っ込めるという発想が浮かばなかった」という解釈が妥当ではないかという風に今は思っています。そして、「そもそも客の感想に対してアーティストが反論するのはどうなの?」「客の解釈が【間違っている】ということは原理的にあり得ないのでは?」という議論ももちろんあろうと思う。表現者の手を離れた表現がどう解釈されるかは、どうしたって受け手が決めることでしかない。

 

以下、余談だけど、ローリーの伝道師スタンスがロックファン以外には伝わらんかもしれないので少し書くと、ロックミュージシャンって多かれ少なかれみんな「ロック伝道師」みたいな意識はあるわけですよ。「元ネタがまったくない音楽」なんてないと言い切っても過言ではない。どこかにバトンは埋められている。それはもうポール・マッカートニーだってリトル・リチャードのパロディみたいなことをやって元ネタを嬉しそうに解説するし、ハイロウズの「相談天国」はディープ・パープルへのオマージュだし、ジョン・レノンがボビー・パーカーからパクったデイ・トリッパーのリフを奥田民生がパフィの「それが私の生きる道」で引用するとか、大瀧詠一フリッパーズ・ギターも「これそのまんまですやん」というパロディやオマージュや引用盛りだくさんなわけですね。「ラストダンスはヘイ・ジュード」ですよ。二人で飲みますレモンティー。ロックに限らず、ザ・ウィークエンドだってブルーノ・マーズだって星野源だっていろんな先達の曲から新しい音楽を生み出しているわけだ。

 

しかもこれがバンドとなると組み合わせなので、ニルヴァーナの「スメルズライクティーンスピリット」はカートとしてはピクシーズをパクったつもりだったけど、デイブのドラムはザ・ギャップ・バンドのディスコナンバーからの引用だったりするわけです。

 

hiphopdna.jp

 

つまりロックミュージシャンってのはロックが大好きなんですよ。当たり前ですが。自分が大好きなロックを自分というフィルターを通してみんなに伝道したいわけですね。

 

そういう文脈においてローリーというのは、そんなロック大好きなミュージシャンの中にあっても、特にクラシックロックの伝道師色が強いアーティスト、イタコ色の強いギタリストなんです。

 

だから「ローリーがZEPの曲やってたけど、あのギターはペイジじゃないね。自分の好きなようにプレイしていたね」というのは、日本屈指のジミー・ペイジ研究家にしてイタコギタリストであるローリーにとってはピンポイントで侮辱と言うか、「一番触れちゃいけないところに触れやがった」なんですよ。もちろんファンの方にはそんな悪気はなかった。しかし、長年のローリーファンなら、それが侮辱になってしまっていたことに気づいてもよかったかもしれない。

 

普通は「逆」だから、わかりづらいのよね。「○○みたいですね、パクリですか」と言われて怒る方がわかりやすいし、「ローリーさんの音楽として好きです」なんて一般的には褒め言葉のはずなので、今回皆さんなんでローリーがこんなに怒ってるのかわかりづらいんだろうなーと思って、解説を試みた次第である。その上で、うん、やっぱりローリーが悪いよね……。自分のファンに対して、あまりに粘着質だし、威圧的だし、感情的すぎるし。結論は変わらず。

 

まあ、これは擁護なのかな。いやあの大人気ない粘着質な連投を見たら俺はただ哀しくなったし、元ツイの方に大変同情もしたんですよ。ただなんか、ローリーというアーティストのバックグラウンドを知ると、「全く意味不明なブチギレ」が「わからんでもないけどいくらなんでもキレすぎ」ぐらいには印象が変わるかなって話でした。

 

追記:ROLLYさん謝罪されていますね。個人的にはこれにて落着です。

 

追記2:ブコメ全部には返信できないんだけど気になったところだけ。この記事はローリー側の視点を補足説明するつもりで書いたので、不公平ではあると思います。キレ散らかすローリーに対して、「ファンの側が大人の対応をしている」のは間違いない。「そもそも本当にペイジっぽい演奏になっているか?」については、別にファンが間違っているとはいえない(ので記事内でも「どっちが正しいわけでもない」とは書いている)。なので「意固地」「譲ってあげればいいのに」は不適切だろ、ファンの矜持はどうなるのだという指摘についてはごもっともです。ぐうの音も出ない。7/21 そのあたりについて書き方を修正しました。

 

追記3:「皆さんに謝ったからいいとはならない。本当に謝るべきは、粘着激詰めしたファンの方に対してだろ」という指摘があったが、ローリーは件のファンの方に(粘着していたツリー上で)直接謝っとるよ。多分謝罪ツイートが2つあるうちの片方を見落としているのではないかな。あとはあのお二人の間でのことであろう。それと「ドン引きした、当事者じゃないのにトラウマになった、アレ見て逆にロック嫌いになった」みたいな声、これが一番ローリーには堪えるだろうね。そこはさすがに超反省してるのではないだろうかとは思うが、許してあげてとかは言わない。みんな自由に何かを好きになったり嫌いになったりしよう。

 

追記4:「マーくんの件は全然違うだろ」というご指摘。例え話というのは、「ある面では同じだがある面では違う」のだよ。なので、違うところを比較して「違うでしょ」と言われれば「そらそうよ」という話なのだが、ここではあくまでも「ファンが、自分が応援している人に激詰めされるのはショックだよね、トラウマなるよね」という意味で出してるのだよ。その観点では「同じ」でしょ。「マーくんの趣味に絡んだおっさんは完全に大きなお世話で自業自得だけど、ROLLYに一方的に絡まれたファンは何も悪くないから、それらを同一視するのは違うだろ」というのは、「そらそうよ」という話なのだよ。その観点では違いますね。この観点では同じですね。ということ。伝わらんかな。激詰めされた理由はここでは切り離してくれや。そりゃおっさんが悪いよ。でもさ、ネットに慣れてないただの楽天ファンのお父さんが、定年退職してTwitterなるものを始めてみたみたいな感じだったのよ。まさかマーくん本人から怒られが発生するなんて、それは自業自得だけど「ショック」な気持ちは想像できるでしょ。誰が悪いとかいう話ではなく「ファンが、応援してる対象(推し、と呼んでもよい)に詰められる心情」の話。まあ結論としてはお父さん(と一部のアーティスト)はインターネットYAMERO、半年ROMれなんだけど。

 

追記5:1000ブクマ!?こんな伸びると思わんかったな!貴様らせっかくだからすかんちの名曲「恋するマリールー」でも聴いて帰ってくれ 

open.spotify.com

ついでに50年前のジミー・ペイジも観て帰ってくれ

www.youtube.com

 

追記6:達郎にはワイも失望してるやで!あのラジオやる前からね。ただ、よく知らない人たちから「達郎はジャニーズの権力、圧力に負けた」みたいな見られ方してたけど、そうではないよって話。達郎はウソをつかないし、権力を意に介さないし、好きなものに対しては常に純粋な人間だ。つまり、本気であのジャニー喜多川を尊敬し、美しいと思い、自分の意志でその名誉を守ろうとしているんだよ。だから俺は絶望したのだ。ああ、達郎が言うからには、これは純度100%の山下達郎の本音なんだろうなと。むしろ、圧力に負ける人であったなら、金で転ぶ人であったなら、どれほど救われたことか。説明が難しいわ。俺も拗らせた面倒くさいロックおじさんだからな。本題と関係ないノイズなので書かなきゃよかったんだが、「結論は同じなんだけどファンからはちょっと見え方が違った例」と思ってくれ。マーくんの話と同様、何事にも「違うところと同じところがある」ので、コミュニケーションにおいてはそこは適宜汲んだり汲まなかったりしていただければ幸いです。

 

追記7:「これは大事なところだな」と思った2箇所に脚注を入れました。重ね重ね、件のファンの方ごめんなさい。俺が同じ立場なら、とてもあそこまで立派に振る舞えんし、筋金入りのロックファンである貴方を尊敬します。今回の悪夢の傷が癒えますように。

まだいくつか、「そういうつもりじゃないよ~」というコメントがあり、反応したくなるんだが、どれだけ言葉を尽くしても、他人の感想をコントロールすることなどできないというのがこの記事の一つのテーマでもある。ネットで言葉を発した以上、言葉の伝わり方が俺の思い通りであろうとなかろうと、戻ってきたボールは受け止めるしかない。その点は誰も変わらない。きりもないし、もう弁解はこのぐらいにしとこう。

俺がやりたかったのは、全然ロックの文脈が分からなくて本件が謎すぎると思った人たちに対する文脈の共有で、それはある程度達成できたと思う。はてな村の外にまで広まるとは予想できなかったが。読んでくれてありがとうございました。ごきげんよう

 

追記8:ごきげんようと言った翌日だがまた懸念のコメントをいただいたので戻ってきました。追ってくれる人はもうあんまりおらんのかもしれんが、今後思い出したように参照されたときのことを鑑み。

またコメント欄でご意見いただきまして、論点は2つあり、1つは「切れたのはこういう理由だとして、切れ方が問題なのだ」という論自体への疑義ですね。つまり、「そもそも表現者の表現をどう受け取りどう解釈するかは、受け手の自由であり、思った通りに解釈してもらえなかったからといって表現者が文句を付けるという行為そのものがNGである。切れ方の問題ではなく、仮に粘着攻撃をしなかったとしてもダメである」ということ。これは基本的にはそうですよね。普通の表現者はそんなことしないので、たまにそういうことがあると炎上するのだ。まったく異論はないというか、俺も基本的にそういう考え方です。ブロガーもある意味そういう面はあるのか……?表現と言ってもいろいろあるからな。

もう1つは、こっちのほうが大事ですが「ファンの人がどういう心境だったのかを、外部から勝手にエスパー推理すべきではない」という話ですね。それは本当にそう。そしてROLLYの心境だってROLLYにしかわからない。達郎の心境だって達郎にしかわからない。結局ひろゆきじゃないけど「これって私の感想ですよね」という。まさしくそこはデリケートな話なので、記事冒頭に注意書きと、該当箇所の修正を行いました。ご指摘ありがとうございます。記事ごと消した方がいい気もしてきたがいったんここまで。

 

追記9:もはや追記が本編と同じぐらいのボリュームになってしまったが、引き続きコメントでご指摘をいただき、ごもっともだと感じたので、「受けて立った」「否定し続けた」の箇所に追加修正を行った。ご指摘ありがとうございます。ご懸念の点を踏まえて、より客観的にというか、ファンの人の「意図」には踏み込んでいないことを強調した書き方にしたつもりです。

これは余計な話かもしれないが、俺の「感想」として、このファンの人が精鋭中の精鋭、ガチのロックファンだという印象は今も変わらない。ROLLYとも、なんなら俺とも、同志といえる存在のように感じる。が、そのこと(ガチのロックファンだったこと)が、結果として不幸なボタンの掛け違いの一因にはなったと思うんだよ。普通に考えて、ROLLYツェッペリンのトリビュート演奏に参加するらしいという事前情報を聞いたとして、「じゃあきっとペイジっぽくやるのかな?」と予想してそこに注目しながら観るって、この時点で着眼点がマニアすぎる。ロックファンにも濃淡はあるが、この人は特濃ファンだという印象を強く受ける。そんな人じゃなきゃ、発端のツイートの感想はあり得なかった。そして99.99%のケースで、そんな濃い感想を見たアーティストは「こんなディープに見てくれるファンがいるとは!」と、プラスの感情を抱くだろう。それが地雷になる可能性は本来、ほぼない。だから、大変確率の低い、不幸な事故だと考えている。俺が同じ目に遭っていても全くおかしくなかったというか。事前に読める事故ではない。もちろん、これもくどいけど、初心者だろうとオタクだろうと、ただの感想を詰められて良い人などいないのは大前提です。ペイジっぽくはなかったなと、誰でも思ったらネットに書いていいし、感じたことは変えなくていい。

*1:ちょっと補足。読み返してみたら、この書き方だとROLLYがイタコ専門みたいに誤解する人がいるかもしれんな。決してそんなことはなく、「そういうお題設定」のない平場においては、輝けるロックの黄金時代を一身に体現するセクシーでゴージャスなエンターテインメントの化身、イタコを超えて先人たちの魂を血肉とした「ROLLY」という世界に唯一人のギターヒーローとして素晴らしいのですよ。念のため。伝わりやすさを考えてイタコ要素を強調しすぎてしまったが、それはローリーの一面に過ぎない。才能に満ちたギタリストでありシンガーでありソングライターでありプロデューサーでありエンターテイナーである。一言で言うならロックンロールスターか。俺の中では和嶋慎治、坂本慎太郎浅井健一アベフトシといったスーパースター枠の一人だ。

*2:このへん、ブログコメントで「ファンの方への二次加害になっている」というご指摘があり、それはそうと思ったので後で少し書き直します。本記事全体に、ROLLY側に肩入れしてアンフェアになってる自覚は確かにある。ご指摘感謝。俺みたく後から岡目八目でああすればよかったこうすればよかったと言うのは簡単だが、件のファンの方の目線になると、「推しのアーティストがなぜか悪魔化して延々と脅迫めいた粘着攻撃してくる。冷静に謝ってもなぜかさらに逆上して攻撃してくる」という不条理な悪夢のような状況で、まともに礼儀正しく応対してるだけでも相当えらいし、仮に俺が同じ状況ならここまでの応対はとてもできない。パソコン投げ捨ててる。自分にできないことを他人に「こうすればいいのに」は言っちゃダメだった。過去にそのテーマで記事も書いてるのだ。ファンの方ごめんなさい。そして今回のROLLYの一番の問題は「切れ方」「攻撃の仕方」だと認識してる。切れた経緯自体の解説はしたけど、執拗な粘着ハラスメント行為は、擁護の余地ないです。ROLLYの謝罪ツイートを見るとそこはご本人も冷静になって後悔していると思う。