はてブの出来事

備忘録です。

たわわ対話の件。お礼と感想(sametashark氏より最終返信あり・追記6)

 

はじめに

※この記事は前回の続きです。

※4/30 ブコメを見て追記

※5/1 なぜか温泉むすめを見落としていたので追記。

※5/2 温泉むすめについての感想を書いてるうちに思考が膨らんできたので脚注で謎エッセイ加筆中。と思ってたが、もはや別の話題になってる上に脚注の分量じゃないので別記事にします。その他、一部ちと過剰に言い過ぎた表現を丸めた。また、「後気づき」が出てきたので最後のほうにメモしとく。

※5/3 sametashark氏から、本記事についての最終レスポンスをいただいた。本記事末尾にてリンクを追加する。また、このやりとりから派生した他の方々の記事にもリンクを貼ることにした。

 

id:sametashark氏が、「別視点」を投稿してくださった。

まずは何よりさておき、どうもありがとうございます!

sametashark.hateblo.jp

これは本当に有意義なことで、俺の記事と組み合わせて読むことで、全く見える景色が変わってくると思う。ぜひ皆さん、読むことをおすすめする。100文字や140文字の世界からは見えないものが見える。

 

本記事は、俺からsametashark氏記事へのリアクション(お礼や感想など)であるが、sametashark氏の記事と合わせて、ネットの海になんらかの気付きがもたらされれば幸甚である。

■sametashark氏の記事を見た大感想

本当に感謝と尊敬の念が湧いた。

俺も今回やってみて改めて思ったが、時間をかけてちゃんと考えて他人と向き合うというのは、楽ではない。sametashark氏も、記事内で労力とのバランスに言及されているが、本当にけっこう大変である。

 

ブコメなんて仕事のスキマ時間にでも書けるが(業務時間なのでダメ絶対)、この分量の記事を書こうと思ったら半日仕事だ。なので、ブログタイトルや目次を見た時点で感動した。すごく真面目な人だ。あと冷めた鮫だったのかよ。など。

 

頑張ってコストかけて書いても、1行で、ノーコストで無効化しようとする人たちが必ずいる。「どっち派か」を見定めてテンプレコメント付けてくる層。でもコストをかけるネット民のパワーを俺は信じてるぜ。

 

ともかく、sametashark氏がその多大なコストを払って対応してくれたことに、まずはとにかく感謝と、正直時間とメンタルを浪費させてすまんなというお詫びと、こんなことに巻き込まれながらも誠実に立ち向かうその姿勢に尊敬の念を抱いている。

 

勝手ながら、sametashark氏がしっかり受けて立ってくれたことで、わかりあうまでいかなくとも議論が深まったろう的に有意義な対話ができたと思っている。

 

■当事者性の違いから来る大きな差分

sametashark氏の記事を読み進めてすぐに湧いてきたのが、当事者性の差から来る、申し訳なかったなという気持ちである。圧倒的な当事者性の前には、俺はいっちょ噛みだろう。

 

一方で自己正当化はしておくと、当事者性の強い人たちがいつもいつまでも同じようなバトルを展開していることに、当事者性の低い俺(や、おそらく大多数のサイレントマジョリティ)もまたずっとフラストレーションを抱えていた「まーたこのパターンか、なんでこうなるんだろ」と。また、自分も表現者のはしくれであり、レーティング問題に関わったこともあるので、こうしたトピックには関心が強い。

 

「このパターン」とは、前回の記事にも書いたように「党派性による相互決めつけ」によるテンプレ合戦だ。これまで膨大な量の「ツイフェミvs表自戦士」や「ネトウヨvsパヨク」といった争いに人類のリソースが費やされてきたと思うが、本当にまったく何も良いことがない。

ただただ皆さんのリソースが失われ、断絶が深まり、世界がヘイトに沈むだけだ。毎回同じパターンである以上、そこから人類が得るものはない。一つもないよ!

 

俺はそこに長らく課題意識を持ち、尊敬する山本七平の水差しメソッドに従って、はてブで「反・党派性運動」のようなことをしている次第である。

 

当事者性が低いと書いたが、「オタクカルチャーの、ある種のディープな側面を知らない」「男性であり、女性のような性被害とほぼ無縁だった」という意味だ。広くエンタメ産業にかかわる一人の日本人としての当事者性はめっちゃ高いと認識している。また、何より今回明らかになったように「女性の差別に対して鈍感であり、加担することになっている」という意味では、むしろ当事者性をもっと自覚した方がいいということになる。

 

だから申し訳ない気持ちがありつつも、今後も発信はしていくと思う。ただ、今回「当事者の圧倒的リアリティ」がインプットされたので、アプローチに影響があるかもしれない。その意味でも感謝している。

 

気になったところに、お返事というか感想

先にまとめておくと

 

  • 俺が礼を失したコミュニケーションを選んだのは合目的的でなかったし、無駄に不快にさせたことも間違いだった
  • ネットであっても長い断絶の歴史はそう簡単には解決しないし、わだかまりもなくならない
  • それでもなお、名指しで対話をする意義はあるというか、あったという認識

では上から順に。お返事・感想ということで、あまり反論というものではなく、「こちらからはこういう景色だった」という説明が主になる。

 

バックグラウンド、男オタ所感、女オタ所感

しっかり読ませてもらった。ありがとうございます。

しんどいであろう歴史を開示していただいたことに、とにかく感謝と敬意を表明する。非常に理解が深まったと感じるが、同時に100文字・140文字世界ではこのナラティブは伝わらないな……と、コミュニティの限界を改めて痛感する。

 

sametashark氏のような女性はきっと多いのだと思う。それぞれが深い傷を負っているとするならば、国同士の停戦が簡単でないのと同様に、長年ネット上で深まってきた断絶は、そう簡単に解消できるわけがないなと。俺はたぶんだいぶ甘く見てしまっていた。

 

ネット歴の長い女性のオタクは、ネット上の男オタクカルチャー(といっても広すぎるので解像度を上げたいが)の差別性に対する長年・積年の怒り、悲しみ、呆れ、絶望などがあるのは、ある程度理解できたと思う。理解って2回書いちゃったけど、厳密には想像しかできない。

そういう事実がある、という認識はもともとあったが、今回1人の人と名指しで会話を交わしたことで、以前より深く俺の中にインプットされた。

 

俺自身は実際「男オタクの目に見えない特権」なのだろうが、そうした差別にまったく鈍感であった。

エロゲのスクショで会話するやつなども、マジで一度も見たことがないのだが、これも「男だからそういうものを見てもスルーできてしまっているだけ」みたいなことなのかもしれない。俺の本垢のTLが音楽中心ってのもあるだろうが。

セクハラも同様で、ジェンダー系の話題で炎上した女性に卑猥なリプライをするゴミアカウントは見たことがある。あんなことが積み重なればうんざりするだろう。また、自分のフォロイーではないが、たまにTwitterで18禁みたいなイラスト公開している奴がいるのは把握してる。もちろんキモいと感じるし、Twitter Japanはきっちり仕事してほしいと思う。が、多分そんなもんじゃないんだよな、見えてる景色。

 

女性差別について。2ちゃんねるで言うと、例えば週漫板の真面目なスレッド(主に、売れてる王道人気漫画)では、名無し同士の馴れ合いなどに対して「女だってバレバレw」みたいなエスパーをして追い出そうとする奴は見かけた。俺は週漫でもクソ漫画のクソスレッドにしかいなかったので、横目レベルでの話だけど。

しかし週漫以外の常駐板(専門板)では見かけたことのないムーブであり、「週刊少年漫画板」みたいに性別を表す言葉が入っているような板に固有の現象のような気もする。2ちゃんねるも広いのでなんとも言えんが、「確かにそういうものはあった」と思う。

 

長々と書いたが、大事なことは一つで、「女性がどんな被害に遭っているか」を、多くの男性は知らないし知ろうともしないという非対称性が、ネットのオタクの世界でもあることを、改めて思い知った感じだ。

 

ちょっと今は、「インプットできた」ぐらいで勘弁してほしい。

 

念のため言っておきたいのが、俺の方の記事でも何度も書いたが、俺はすっとぼけてるわけでもカマトトぶってるわけでもないということ。俺のオタ友人でも、女性を攻撃したり揶揄したりしてるの見たことない。これ多分、はてブの「男性オタク」の大半はそんな感じだと思うよ。だから話がガチで噛み合わないんだ。

 

つまり、あまりにも見えている世界が違うのだ、ということを、多分お互いに理解しないと断絶は深まるばかりじゃなかろうか。

 

たわわ広告へのスタンス、作品の内容について

sametashark氏のスタンスはよく理解できた。「漫画の内容を考えると、日経新聞で宣伝すること自体がふさわしくない」は俺もだいたい同感。

 

はっきり表明する必要があると思うのでするが、俺の直観的なお気持ち(価値観と言い換えてもいいけど)で言うと「日経新聞講談社もないわ」と思う。その上で、やっぱり慎重に検討する必要があるとも思う。

 

*1

 

あとコールがあって気がついたが、広告自体にはid:hepta-lambada氏の感覚に近いかな。

hepta-lambda.hatenablog.com

 

あとの箇所は「補足」も含め、賛成も反対も言わんが、sametashark氏はそのように認識されているんだなということ、そのような受け止めになるのも無理もないかなという感想に留める。

 

ブコメやりとりの逆視点

ここはなんか、1個1個インライン返信みたいにするのもなと思うので(結局しちゃったけど)、まずはまとめての雑感で恐縮だが、「俺が先走り過ぎて、剣呑な言い方、イキった言い方をしたのが悪かった」と思う。無礼な態度を全面的にお詫びする。

 

前の記事でもちょっと書いたが、「決めつけはよくないよね~」と俺が主張する以上は、俺はよほど慎重に「相手を決めつけない」姿勢が必要だった。

 

これは今回の個人的に一番大きい収穫だったかもしれん。やっぱり相互理解するならつっかかるような言い方したらダメだ。合目的的ではなかった。当たり前だが、対話がなければ気づけなかった。今読み返すと鼻息荒い感じが恥ずかしくすらある。

 

で、ここから先はすでに並行線が確定しているので、念のためレベルの話。

 

アニメキャラの妊娠検査薬コラしたり、クリアファイルに下着の形の紙挟んで喜んでる人たちが、広告に向かって「いいぞもっとやれ」「エロくて何が悪い」「ただの絵なのに何が悪い」「集客できてるんだからこれが正義」「えちえち///」「イラストは素晴らしい。フェミの嫉妬は見苦しい」「元気が出るのは事実なのだから何も問題ない」

一つも見たことがない。繰り返すが、これすっとぼけてるわけでもなんでもなく、多分俺だけじゃなくて、はてブにいる多数の男オタクはそれらを見たことないと思うんだよ……。それらをsametashark氏はどこで観測したのか?ブコメにあったようにTwitterなのかもしれんが、Twitterって調べようと思わないと見えない世界が多層に折り重なってるので、みんな本当に別の光景を見ているんだよ。

 

これなぁ。俺が思っている以上に「とぼけるな」の断絶が深いことを思い知る。

 

そして、その光景を前提にしたら確かに「賛美」と言うのも無理はない。が、俺は「少なくともはてブでは」「あの広告賛美している人は見かけてない」と前提条件を付けていた。そしたらはてブの話はしていない、Twitterにそういう奴らがいるんだよ」と言ってもらってもよかったんじゃないかな。が、まあ俺の無礼絡みでは説明する気が失せたと言われればもはやぐうの音も出ない。

 

いや、勝手にたわわに絞り込んで見かけてない、とは。先入観で認知が歪んじゃっているのはどっちだ…?と思ったのを覚えています。

認知の歪みは俺が100%悪かった。本当申し訳ない。失礼すぎる入りだね。ただ、「普通は」「常識では」って言いたくないが、

  • 今まさにたわわ騒動の渦中である
  • 元のTogetterも、たわわの調査を前提とした内容である
  • 他の人もみんな「たわわの話」を前提にコメントしている

という状況なので、全く何も疑わずに「たわわの話だな」と思ったんだ。「だからsametashark氏が悪い」とかいう話ではないので、ともかくそうなんだな、と認識だけしていただけると大変ありがたい。

 

ここが断絶の第一歩だったな……。俺は、そんなにまで違う光景が見えているとは理解できていなかった。

 

sametashark氏が「長年あらゆるオタクコミュニティを見てきた」と感じるのと、俺が「長年あらゆるオタクコミュニティを見てきた」と感じるのは、等価値だが、見てきた景色が一つとして同じでないということだと思う。

 

少なくとも自分がJKだったことがあって、多少なりと胸について苦労をしたことがある人ならこの広告を「別にいいんじゃない、外野はとやかく言うな」と"許可する権利"を持っていると思うので、賛美にはあたらない。

しかし、それ以外が「別にいいんじゃない、外野はとやかく言うな」というのは、単に無責任な放言や自分の楽しみを守るための方便で、自分が法律に触れることさえしなければ世は事もなしだから何とでも言えるだけだと思う。

正直エロオタじゃなくても法で裁かれない範囲の性的嫌がらせに対して無頓着・無責任・無自覚で「かわいいしイラストだしいいじゃん」って言ってる人はセクハラを擁護してるのと変わらんと思う。

このへんも。

 

いろいろなことがsametashark氏の中ではイコールで結ばれており、自明の事実扱いになっているのだろうが、俺には理解できていなかったし、今もちょっとついていけないところは正直ある。

ただ、総論としては、前よりも理解できるようになったつもりだし、同意するところもある。

 

どっちがまともだとか、どっちが常識だとかいう話を俺はしたいのではないのは再び念押ししておく。とにかく見えてる光景が違いすぎる。

 

次に「まわりくどい」か。これも喧嘩腰ですまなんだ。

念のためだけど、sametashark氏が「男性があれについて~」といわずに「JKだったことも乳房ついてたこともない人があれについて~」とか、そういう複雑な言い方をした意図が俺にはわからんかったのね。俺だけなのだろうか?

「男性って言えばよくない?」という疑問がまず浮かび、「回りくどい言い方をするのはどういう意図があるんだ?」と、俺がそこに吸い寄せられちゃったんだよ。実を言うと今もよくわかってない。

 

ともかく、真意ってのは言葉で伝えないとわからないもの。ということを思い知っている。

 

sametashark氏が「こんなことは自明だよね」と思って書いているであろうことが、俺には本当に意味がわからんことが多いのだ。逆もまた然りなんだろうなと思うが、改めてお互いの見解は揃ったので、「賛美」についてはもうよいかなと思う。

 

で、最後は「たわわ以外」について。これもね、本当に見えてる景色が違うんだよ。

 

俺も長年一緒に深夜に萌えアニメ実況してきた友人たちとか、複数の別コミュニティにいるんだよ。エロゲー含めたオタクコミュニティに浸かってるタイプの友人たちがさ。「だから、俺の感覚がオタクの平均なのだ!」と言うつもりはないが、とはいえ普段「俺たちって異端だなあ」と感じることもない。そういう俺から見て、

 

「たわわや温泉むすめや宇崎献血やアツギタイツやコンビニやファミレスで店内放送するコラボやトレーダー3号店の『もっと!孕ませ(以下略』やごちうさリプトン等

 

アツギタイツとかもっと孕ませとかごちうさリプトンとか、それは普通は知ってるものなのか……?という俺の困惑は伝わっただろうか。

※↑と、書いていたのだが、sametashark氏が貼ってくれたリンクを見たら、少なくとも1個は見たことあったわ!申し訳ない。名前ではわからんかったのだ。詳しくは後ほど。

 

俺はコロナ禍でだいたい毎日はてブの「総合」を日課のように覗いてたから、たわわと宇崎ちゃんと温泉むすめが炎上してたことは認識してる。アツギタイツとかもっと!孕ませとか、ごちうさリプトンというのは、見た記憶がない。

 

sametashark氏からすると「勝手にたわわの話に絞られた」のだろうが、俺からすると「いや、今はたわわの話では?」だったのだ。

 

さっきも書いたが、たわわ騒動の渦中だったことで当然たわわの話だと決め込んだ俺は、一応「たわわ広告の話だとしたら、少なくともはてブでは賛美されているのを見たことがない」と、「たわわ広告」「はてブでは」の2つの条件を付けて質問をした。

 

それに対してそのアツギタイツとかもっと!孕ませとかごちうさリプトンとか聞いたこともない事例を列挙されたので、「それらの話は知らんが、たわわ広告の賛美はないよね?」という流れになったんだ。

 

何回言うんかいという話だが、sametashark氏を責めてるわけではなく、俺も完全に決めつけ過ぎている。ただ「どうやら全然違う光景が見えている」ということを、お互い理解する必要を感じた。感じない?この世界は無駄に殺し合ってないか?

 

めちゃくちゃ失礼なことを承知で正直に言うと「いちブクマカのはてなブログってそんな見る人いるんかいな…」と思っていたので、ホッテントリ見たときはびっくりした。

おかげさまで影響したんだなあ、と素直に思っています。

sametashark氏のおかげで、何かしらにはなった。影響があったなら嬉しいです。

 

「違います、こうです」は、私としてはやり取りの中で何度か言ってるんですけどね。定型文じゃないとだめですかね。

そのあたりからも労力>報酬とみて切り上げようと思いました。

初対面の相手に「認知が歪んじゃってる」「そんなガバガバで大丈夫か」「いちいち周りくどい」の印象で会話への協力姿勢が削がれるのは当然と思います。


本当にごもっとも……。それに尽きる。大変反省している。人間成長しないといかんなという思いを新たにした。

 

ただ、「自分と考えが合わない人のブコメの総合的な印象」を持って特定個人に向かうのは、受ける側の負担が大きいせいでこじれやすそうです。

まさしく。俺自身に認知の歪みがあったと今は理解できている。この指摘を最後に入れていただき感謝する。

 

以上本編終わり。とてもわかりあえたとは言いがたいが、しかしコストをかけた半日分くらいの収穫は確実にあったと思うのは、俺の一方的な気の所為ではないと思いたい。

 

【5/2追記】

自分の過去ブクマを自分の戒めに置いておく。

ヨーロッパでの就活で人種差別を受けた話

自分が当事者になって初めて「あ、これがそうなんだ」「こんなに恐ろしくて傷つく事なんだ」と理解できる事は多い。我々は世の中の色んな事をテレビやネットで知ったような気になっているがほぼ何もわかっていない。

2019/12/31 09:26

b.hatena.ne.jp

 

「たわわ以外」について、俺の反射感想(追記)

本当にわかんないから無視してたんですか…。(煽り風ですみません)

これ、ここまで文章を書いてきて、読み飛ばしていたことに気づいた。普通とか常識とか本当に言いたくないけど、普通わかんないだろ!というのがさっきまでの俺のお気持ち。

 

誰にも求められていないが、それぞれ俺の見た瞬間雑感を語らせていただく。前の記事に書いた、すべての中間のグラデーションのどこに線があるかの表明でもあるだろう。全然調べずに「直観的なお気持ち」を書く。

 

トレーダー3号店の「もっと!孕ませ(以下略」

これか!ごめんなさい、画像は見たことあったわ!

俺の中では「町中にエロゲーの気持ち悪い広告が掲示されていた画像」とは認識されていたが、固有名詞はまったく覚えていなかった。

 

これは俺の記事にも書いたように、無限段階の中でも、男性オタクでもほとんどの人がアウトと判定するケースのように感じる。さすがにまとめアフィサイトとかでも袋叩きにされそうだが。これを賛美してるオタクはさすがに引くわ……。

 

ゾーニングの議論とかで例示しやすそうなので覚えとこう。

 

アツギタイツ

貼ってもらった記事では元画像が消えてるのか見られなかったので、俺が有料会員である朝日新聞デジタルで探してきた。これか。これも、アツギタイツという固有名詞は全く知らなかったが、もしかしたら見たことあるかも?

digital.asahi.com

まあでも覚えていない以上は初見という前提で言うと、完全に「自社の顧客」じゃないターゲットに向けて作っちゃっていて、マーケティングとしては最低の部類だと思う。愚かな担当者が暴走したのかね。オタクが賛美するかどうかは知らんが、誰も得しないケースなのでは。

 

リプトンごちうさコラボ

https://www.j-cast.com/2021/10/29423719.html?p=all

この記事だけを見ると、その変態行為が1件あっただけなのか、100件とかあったのかがわからない。さすがにそんな気持ち悪いネジの外れた変態は少数だろう、というのが俺の肌感。これへの賛美っていうと「もっとやれwww」みたいなの?うーん……。

 

J-CASTマッチポンプ常習犯なので、その意味でもやや眉唾かなと。以下の記事は本当に多くのツイッタラーが読むべき。みんなJ-CASTの養分なりすぎ!なんなら10人ぐらい文句言ってるだけでも「ネットで非難殺到」って記事にするからな。

 

参考ブクマ

鬼滅の刃「物議」報道で考える、炎上や対立をあおるメディアとポータルサイトの構造問題(徳力基彦) - 個人 - Yahoo!ニュース

さすが徳力さん。世界を良くするブロガー。かつて山本七平が、無責任な「空気」で動く日本社会へのソリューションとして「水を差す」という行動を提唱していたが、このように水を差す人たちがもっと増えてほしい。

2022/02/19 14:42

b.hatena.ne.jp

コンビニやファミレスで店内放送するコラボ

あんま利用しないけど、職場の近くのファミマ(2軒)とセブン(1軒)ではアニメコラボの音声聞いたことないなぁ。店内放送と言われて思い出せるのは合宿免許ワオ!ばかりだ。それか、俺のオタクイヤーが声優の声に違和感を覚えなくなりすぎていてスルーしてるのかもしれん。グッズのくじみたいなのはめっちゃ増えたと思う。

 

温泉むすめ 5/1追記、5/2脚注加筆中

温泉むすめについて書き漏らしていた!上のやつと同じで、初見時の反射感想を書く。

仁藤氏のツイートについて、たしかに地方自治体やらとコラボする企画なら、挙げられているプロフィールのキャプションはダメだな。ダメだし、センスが古すぎない?いや、でも「オタク向けのひっそりしたコラボ」と想定した場合どうだろう。オタク向けとしても酷いクオリティだな!(主観)

 

俺がこのコラボ企画の担当者なら、発注する時点で「コラボ先が観光産業なので、エロネタは控えてください」というと思う。もちろん観光産業でも秘宝館とかストリップとかエロ民話集とかあるだろうけど、多分この企画は全年齢向けよね。

それに自治体側の担当者・その上司などにも「いや夜這いはないでしょ。大丈夫なんですか」とクレーム入れられるレベルの気がする。

 

そのゆるさも、そもそものキャラのセリフというかテキストの適当さも、印象としては素人っぽいオタク産業って、うっかりうさんくさい素人が予算持てちゃうケースが多いんで、たまに本当に酷い内輪受けの悪ノリした低レベルコラボある。自治体側が「アニメとかオタクとかよくわからんし、プロにお任せします」と丸投げしたら、ボールの飛んだ先にプロがいなかったのでは。いやわからんけど。普通にプロならごめんなさい。

 

これを賛美(というか喜んで消費)するオタクは、一定数いそう。ただ、オタク向けとしても低品質だし、なんかセンスが古いと感じる。世間一般的にじゃなく、オタク的にも。

 

以下、反射感想のはずが思考がぐるぐるしてきてなんか脱線が長くなったので以下脚注に謎エッセイとして加筆(長い)。だったが、脱線しすぎたため別記事にすることにした。

 

という感じで誰にも聞かれていないが反射感想終わり。sametashark氏わざわざすまんかった。

 

バックグラウンド開示

最後に、こちらもバックグラウンドを開示する。いわゆる自分語りだ。身バレを回避するためフェイクを入れる。先に言っておくと、sametashark氏とはかなり違うオタク人生だと思う。

*2

  • 中高大と、漫画やゲームに熱中はすれどいわゆるオタクカルチャーから距離を置き気味だったためか、テレビ見ないアピール層だったせいか、オタク差別に遭ったり、目の当たりにした記憶はない
  • ただしネットで「オタクは迫害されている」という言説を浴び続け、そこに自己同一化している可能性は高い
  • 社会人になってから2ちゃんねる経由であらゆるオタクカルチャーに親しむ
  • コミケは行った事ないがE3やTGSは何度もある

 

駆け足で語ると、小学校は読書中毒。AD&DやT&Tなど舶来TRPGが宝物。新井素子栗本薫ファン。プログラミング中学校はオタク凪期。バンドブームで目覚めパンクロックに。青年誌を読むようになり、今回問題になったヤンマガも購読開始。雑誌ではアフタヌーンがお気に入り。本棚は漫画と小説、ロックで埋め尽くされる。高校はオタク凪期。セガ人に覚醒。2ちゃんねるにハマる。大槻ケンヂの「こじらせたぼっちオタク」的世界観に共鳴する。大学はサブカル期。プロレス、格闘技、麻雀、ロックにのめり込む。また、ネットの友人の影響で日アサ実況文化に目覚める。社会人はオタク覚醒期。ゲーム業界に身を投じてあらゆるタイプのオタクと出会い、後追いでアニメにハマる。特にアニメーターや演出家、声優などの影響関係などをどんどん掘り下げていった。また、ひぐらしにハマったことで、フリゲやエロゲーも積極的に取り込むように。やるおスレにハマる。また、ニコニコ動画にドはまりし、VOCALOIDアイドルマスター漬けに。藤津亮太さんのアニメ論が好きで著作を自分のガイドにしている。好きなアニメーターはすしお。独身時代は週5~6本ぐらいのアニメを見ていた。

 

もともとのはてブでは「オタクとして迫害された当事者性」みたいな話があったと思うが、俺はオタク差別直撃世代であろうにも関わらず、ほとんどリアルでオタク差別に遭ったことはない。非オタの友人たちにちょっとネタにされるぐらいはあり、不快ではあったが、そんなガチなものではない。

 

じゃあオタク差別を認識していなかったのかというともちろんそんなわけがない。町山智浩さんなどが作っていた別冊宝島が好きで、おたくの本というのは持っていた。別冊宝島は、いかにも悪趣味なテーマで(小山田圭吾氏の騒動を思い出されたい)、ライター陣が濃密な取材をしていた。その中の1冊だ。例の10万人の宮崎勤だっけ?の話も多分出ていたと思う。

 

また、俺の脳内は常にインターネットで情報が増幅されており、いつも「迫害されるオタク」へのシンパシーは持っていた。たとえば「アッコにおまかせ!」でVOCALOIDユーザーがバカにされたと聞いては腹を立てて2ちゃんねるで怒ったりしていた。また、漫画などでネットオタクが面白おかしくブヒブヒと戯画化されていると「またこういう偏見で~」と憤っていた。

 

余談だけど。近年は創作を通じて若い方々とも交流があるが、また友人や兄弟の子どもたちと話す機会があるが、「もはや漫画・アニメ・ゲームカルチャーやそこに特徴的な表象に対して、俺たち世代と若い世代では大きな断絶がある」という認識を持っている。下のブコメの感じ。

Official髭男dismが無理だった話|はるゆき|note

フィギュアの宇野昌磨が「深夜アニメではシュタゲとシャーロットが好き」と言ったとき中年オタクが過剰反応したけど、今の若い子にとってオタ文化は本当にただの娯楽の一つでしかなくて、闇でも業でもないんだよなぁ

2019/11/20 08:11

b.hatena.ne.jp


VOCALOIDも、多分年長のオタクが考えているリスナー層と現実のリスナー層はびっくりするほど違う。プロセカのユーザー層とかね。良い時代になったものだが、俺の世代は一番むずかしいように思う。

 

オタクとしてどんなコミュニティに属しているかというと、作画オタやフリゲー、エロゲ派生、麻雀コミュニティ、最近は主にDiscordにいるがIRCもまだ使っている。友人はプロレスオタクも音楽オタクもアニメオタクもいる。それぞれが複合している。

 

最後に

これを他のブクマカにもやってみてほしい。はてブの永久に続く光と闇の聖戦にうんざりしないか?

わかりあえやしないってことだけをわかりあうのさ

Flipper's Guitar - Camera Full Of Kisses/全ての言葉はさよなら

なのだが、それをどんどんやろうぜ。あれらよりはまだマシな光景が見えるかもわからん。俺は人がわかりあえるとは思っていないのだが、そこもゼロイチじゃなくグラデーションだよねと。

 

おれも全然、相手を理解できたとは思わん。が、「本当にそう見えている人はたくさんいても、おかしくないんだ」ということは確実に理解した。

 

追記 ブコメを見ての感想

 

ブコメありがとうございます。ちょっとメモ。

・アツギタイツなどは十分はてブでも話題になった

という旨のご指摘をいただいた。

なんと、そうだったのか……。自分の見てる景色を常識側に置いてしまった。

hepta-lambda氏ありがとう

 

そして思ったのが、「毎日のようにはてブを見ている」という共通点を持つ人同士でさえ、全然違う光景を見ているということ。

これも個人的にめちゃめちゃ重要な気づきだった。人は見たいものしか見ない。

俺ははてブで盛り上がってる話題でも、その大半をスルーしている事に自覚的でなかった。

 

つまり、「はてブのヘビーユーザーなら、たわわ騒動ぐらい知っているだろう」という予断すら危ない。当たり前か?当たり前なんだろうな。よくわかったわ。あぶねえ。

 

これは後でちゃんと整理して書くかもだけど、いったんメモ。

アドラー本「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」の中に、アドラー心理学の中核を成す「目的論」という考え方が出てくる。

 

例えば怒りについて、人間はAという原因があって怒るのではなく、怒りたいという目的があってAを見い出している。前者が原因論で後者が目的論。

感覚的には受け入れ難い話なんだが、これはどっちが正しいというより選択の問題で、「原因論で解釈している限り幸せになれない」という事だと理解している。善悪は解釈の中にしかないので、自ら望んで悪を見出そうとするのをやめることはできる。

 

原因は消せない。それどころか、望む限り、原因は無限に見出せてしまう。原因論は全て他責できてしまうのである種の心地よさがあるが、それだけに抜け出すのは困難だ。それでも目的論で解釈し、主体的に人生を選択しようという話。

 

目的論で本当に全て解釈できるかどうかはさておき、過去と他人は変えられないし、未来と自分は変えられる。面白い話なので、詳しくは嫌われる勇気を参照してほしい。

 

あとは「自分の小さな箱から脱出する方法」という本では、「憎む相手が自分を怒らせる行動をとってほしい」という強烈な願望について書かれている。そうすれば自分の憎しみが正当化され、安心するからだ。

 

お気づきと思うが、これは自分の中だけで無限増幅できる。どうでもいいことも悪意に解釈すればいいし、なんなら何もしてない相手に「こう思ってるに違いない」と憎しみを燃やすこともできる。

 

この本末転倒した心理状態(正当な被害者ポジションへの強い執着)を「箱に入っている」とこの本では表現している。

こちらも感覚的には反論したくなるかもしれないが、考えるツールとして見ると一読の価値があると思う。

 

ただ、この本いい本なんだけど「まえがき」に出てくる訳者のエピソードがオイオイってなるんだよな……。

コミケ献血の人、ウマ娘オタクのなりすましだったことが判明 新年早々釣られる人が続出してしまう

「小さな箱から脱出〜」の本にあったな。いつの間にか相手が良いことをするのではなく、悪いことをするよう願うようになってしまうやつ。悪い相手を非難したいというのが完全に目的化しちゃってるの、末期的。

2022/01/14 11:46

b.hatena.ne.jp

 

「ツイフェミはこういう事をしてほしい。それを非難したい」

「オタクはこういう事をしてほしい。それを非難したい」

 

みたいな気持ち次第で、見える景色は相当変わってくる。

 

ありがたい事に、悪い事をしている「ツイフェミ」も「オタク」も、探そうと思えば無限にいる。選択的に摂取したいワードは人により異なり、「ネトウヨ」とか「リベラル」とか「ブクマカ」とか「バカッター」とか「韓国人」とか「日本人」とか、我々は無限湧きして消費できる悪い奴には事欠かない。

 

そこに確かなニーズがあることが、一部ネットメディアやアフィブログのようなヘイトクリエイターが蔓延る所以でもある。普段はデマッター扱いしてても、自分に都合の良いまとめなら鵜呑みにしたい。都合が悪いなら見たくない。

「そっ閉じ」というミームが廃れないのは、この感覚が割と多くの人にとって理解できるものだからなのではないだろうか。

 

俺ももちろん例外ではなく、好物の「党派性で揉めてそうなネタ」を見つけて箱に入ろうという心理があるかもしれん。今回、それは身にしみた。

などと一般化してしまったが、本当反省します。

 

ちなみに今俺が「見たいもの」は、プーチン誤算に激怒とかロシア軍がこんな失敗しましたとかの記事だ。ポルノの一種だとは自覚している。

 

あとTwitterの「光景」については、俺個人はこういう考え方をしている。モヒカン的ではあるだろう。

大好きなディズニーの世界がツイステのせいで曇ってく

TLは自分でデザインするものなので、クソみたいなTLになってるのは100%あなたの問題かと。過去と他人は変えられないが未来と自分は変えられる。ツイステユーザーのフォローをどんどんやめて快適なTLを構築してください

2020/06/03 07:45

b.hatena.ne.jp

 

この件もう少し考える。人間大きくは変われないしすぐには変われないが、ちょっとずつ変われる。

 

【5/2追記1】自分の過去ブクマを見て気づいたが、俺が今回のたわわの件で最初に憤ったのはハフポストへの積み重なった不信があったように思う。ハフポストやバズフィードに対する失望が積み重なってきた歴史があるんだよ。そのうちなんか書くかもしれんがメモ。

同じく過去ブクマ見てて「違う光景」は同属性でも当たり前だということも再確認した。属性に還元される部分も当然あろうけど、それでもまだ解像度が低いこともある。主語は小さく小さく。難しいなぁ。

宇崎ちゃん騒動から続く、巨乳バッシングについて思う事|新月|note

「子育てが楽しくてノーストレス、電車でも嫌な思いをしたことのない母親」「一度も差別されたことがなく祝福されてパートナーと結婚式を挙げたゲイ」なども、いて当たり前なんだよね。そりゃいろんな人がいるよ。

2020/06/15 10:31

b.hatena.ne.jp

追記 sametashark氏から本記事へのレスポンスをいただいた

掲題通り、本記事に対して、新たにsametashark氏からお返事をいただいた。

sametashark.hateblo.jp

せっかくの連休タイミングに負荷の高いことに付き合わせてしまったなと思っていたが、トータルではポジティブに捉えておられるようで、ホッとした。

俺は最初の記事に書いたように、「スパーンと割り切れる問題はあまりない」「敵も味方もグラデーションの中の中間点のはず」という思いが根底にあるので、スパーンと割り切れない思いをできるだけ正直に書いたつもりだったが、そこはしっかり読み取ってもらえたようでありがたく思う。

id:sametashark氏の「全方位70点ぐらいの答え」というのは良い言葉だなと思ったが、これは言い換えると「みんな30点ぐらいは相容れない価値観の存在を受け入れ、共存する」ということかなと思う。そしてそれは例えば「現行法」などではスパーンと割り切れない領域であり、価値観が衝突するときはどれだけ面倒でも1個1個吟味し、コミュニケーションすることも大切だと痛感した。そのためには、やはり「あいつら」の解像度を上げていく必要があるだろう。

グラデーションで言えば、例えば今回たわわ広告を批判する人も、例えば「せめてあのボタンの描写がなければ」という声はあった。あるいは漫画があそこまで下劣でなければまあ許容範囲という人もいるだろう。そして漫画美少女絵が公共空間にあること自体に強烈な嫌悪を持つ人もいるだろう。それを一緒くたに「批判派」と括ると、やはり藁人形ボクシングを楽しむことにしかならんのではないか。逆もまたなのだが。藁人形殴るのは楽だし気持ちいいからこそ、この「あいつら」悪魔化問題については、今後も折りに触れ発信し、考えを深めていきたいと思うところである。

俺は倫理学や哲学を学んだことがないので合ってるかわからんが、新しい正義のサンデル教授もスパーンと割り切れる正義(=功利主義自由主義)だけではなく、スパーンと割り切れない正義をコミュニケーションによってすり合わせ、見出していく必要性を言っていたと思う(俺の解釈なので違うかもだが)。断絶への向き合い方が自分の中で少しはっきりした気がする。

そんなスパーンと割り切れない難しいところまで含めて、個人的には良い対話ができたなと思う。id:sametashark氏、どうもありがとうございました。

はてな周りにおけるたわわ関連記事

id:sametashark氏とのやりとりを受けて、いくつかはてなブログと増田に記事が投稿された。思わぬ化学反応で連鎖が起こったことに驚くと同時に、第三者の方にも何がしかの気付きがあったのだとしたら嬉しく思う。

が、sametashark氏もそうだと思うが、反響は麻薬でもあり負担でもあり、やや手に負えないので、あまり責任感感じて全部追おうとはしないようにしている。せっかくの連休だしな。

後から読む方々に対してなんらか役立つ記録になればと思い、そして自分自身のメモとしても、いくつか紹介しておきたい。特に俺やsametashark氏とは無関係な記事も含め、ちょっとずつ増やしたり整理していこうと思っている。なお、各記事はブコメと合わせて読むとより多様な視点が得られるかと。

 

hepta-lambda.hatenablog.com

id:hepta-lambda氏によるたわわ広告考察記事。これは別に我々(俺とsametashark氏)のやりとりとは関係なく、氏が独自に進めていた調査記事である。このバランス感覚、文章力、フェアな態度、見習いたい。こういうのが俺の思う良いインターネッツなのだ。表現の不自由展の時も思ったが、今はみんなコストを払わずコタツ論評できてしまう時代。物ぐさせずに一次情報を取ってくる人が一番えらいよ!個人的にたわわ騒動で一番オススメの記事。

 

trajectory.hateblo.jp

id:nowa_s氏による、ある当事者から見た景色。この記事にもまた揺さぶられた。sametashark氏と俺の対話で浮き彫りになった「見えてる世界が違う」ということについての、また別の方からの視点が紹介されている。SYNODOSの田中辰雄氏による調査分析を元に、さらに別の観点からの分析をされており、興味深い結果が出ているのでぜひご覧いただきたい。

 

それにしてもこういう一手間、こういうコスト、こういう一次発信が、昔のインターネッツと比べて減っている気がする。情報量が膨大になり、回転も爆速になり、コストをかけることに対するインセンティブが薄れているんだろうと思う。

気になった記事いくつか貼ろうと思ったんだが途方もない作業になりそうなのでいったんここまで。

*1:

というか、俺はあらゆる「倫理的に悪い表現」の表出について、基本的には全て同じ立場(ただし原則として法律や条例は優先される)。表現の不自由展もその観点から擁護していた。

侮辱罪の件なんかもそうだけど、俺は「倫理的に悪いものへの反射的排除感情」に対する危機意識がものすごく強い。しかし、その姿勢が「倫理的、道徳的、常識的」に批判・罵倒されるのは残当。「エロが見たいだけだろ!」「侮辱したいのか!」「青少年は健全に育成した方がいいだろ」とか言われるのはもうね……。ここは多分、本当に相互理解にも限界があるところだが、あって当然だし、良いことだと思う。相容れない価値観の持ち主がいない社会、怖すぎね?

俺が望んでいるのはみんなが分かり合えて仲良く暮らす社会ではない。むしろ逆で、さっぱりわかりあえない同士が仲悪いなりに共存できる社会がよい。

お互い敵を想像で補完し藁人形を悪魔化して憎むのではなく、実際にはどこが分かり合えないのかを確認しないと、共存なんてできない。正義ポジションからの敵集団の悪魔化って、ジェノサイドルートだよなお、ゾーニングについては「敵を非難」みたいな要素をなるべく排除し、冷静で開かれた議論が必要だと思っているが、その件はまたいずれ。

*2:<オタクの定義>

オタクの定義論があるが、この記事内で俺が使う「オタク」という言葉は文脈で変わってくる。

俺が自分をオタクと自認するのには二段階あり、

①「異常にのめり込みやすく、異常に掘り下げたがり、そしていつまでも飽きない」という性格であること。作った人間、クリエイターのことが知りたくなる方向性。これが「オタク気質」だと自認しており、この性格だと何事もライトオタクでは留まれない。

②いわゆる「オタクっぽいもの(アニメやゲーム)」への親和性。①に加えて、この要素があるので、より「俺はオタクである」という自認が強い。

コミケのようなイベントには行ったことがなく、興味もない。

こっからまたまた余談だが、一般に、何の文脈もなくオタクって言ったら、昔は「アニメなど二次元美少女好きの男」だったのが、この数年で「アイドルやスポーツ選手の推し活をする女性」という意味合いで使われることの方が増えてきてない?

そして、少し前までオタクバッシングみたいな文脈で「オタクきもーい」っていう場合、多分趣味とか嗜好ではなく「見た目や雰囲気や喋り方だけ」で判断されてなかった?別にアニメにも何にも詳しくないのにオタク呼ばわりされていじめられていた子もいるのではないだろうか。

このように、言葉の意味合いは時間とともに変化するし、抽象度が高くなればなるほど(=便利になればなるほど)、コンテクストに強く依存するようになる。ここのすり合わせをしない「議論」は、正気の人間のやることではない。